先週から今日まで、トーンキュンストラーオーケストラでブルックナー8番の交響曲のリハーサル&演奏会を行っていました。
ブルックナー8番というと、
男性「いいよね、かっこいいよねー!」
女性「長すぎ。てゆーか、さっきそれやったじゃんってこと延々と繰り返すよね
バイオリン弾き(無言で右手を小刻みに揺するジェスチャー)
というリアクションが返ってきます(笑)。
どの反応もまあおおよそ事実かも(笑)。
特に長さに関しては本当に長いんですよね。
休憩なしで約1時間半の曲だから、ベートーヴェンの第九より長いよね。。
ちなみに、バイオリン弾きの人が腕を小刻みに震わせるジェスチャーは「トレモロ」という奏法を暗に示しております。
トレモロっていうのは、弓を持っている手を小刻みに震わせてざわざわと震えるような音を出す奏法なんですけど、ブルックナーの8番って体感的に
「曲の80%くらいトレモロなんじゃないの!?」
と思ってしまうくらいトレモロが多い曲なんですよね。
バイオリンに関してはテクニック的に難しい曲ではないんですが、長さとトレモロの多さで確実に弦楽器奏者の体力を削ってくる曲なんです。
結構弾きっぱなしだし(笑)。
隙を見ては楽器を下したいけど、下せないみたいな。
1週間右腕トレモロでブルブルさせてたから二の腕痩せてないかしら、、とうっかり期待してしまうレベルです。
ちなみにわたしはこのブルックナーの8番に個人的な思い入れがあります。
2009年、シュターツカペレ・ドレスデンのファーストバイオリンで1年研修をさせて頂いていたとき。
9月の演奏会をファビオ・ルイージが病気でキャンセルして、クリスティアン・ティーレマンが代役としてこのブルックナー8番を振ったんですよね。
そのときは、「急に曲替えやがってー!長いよ、この曲ー」とぶーぶー言いながらリハーサルに向かったのですが。ティーレマンが誰だかこの時わたしはよくわかっていなかったので(笑)。
もう。
そのリハーサルもコンサートも本当にすばらしくて。
弾いているときに鳥肌が立つというか、魂が抜けだすというか、涙がこぼれてくるというか。
そういう体験をしたのが初めてだったので。
思い出の一曲なわけです。
ちなみにわたし、ヨーロッパに来るまで多くの女性と同じくブルックナーって若干苦手だったんですよね。
長いし、ぐにゃぐにゃしてるし?
どこのパート聞いていいかわからない、みたいな。
うまれて初めてブルックナーに感動したのは、2008年アンサンブル金沢から研修としてウィーンで1年間勉強させてもらっていたときに、楽友協会で聴いたとき。
楽友協会って、大ホールは金ぴかの豪華な内装なんですけど。
そのホールにブルックナーの音が反射して、輝やきながらキラキラと光をまき散らすような、そんな演奏だったんです。
もう、眩しくて目も開けていられないような、そんな演奏だったんですよね。
音なのに本当に眩しくて。
「ああ、こういうことだったんだ」
と、突然腑に落ちたんです。
ブルックナーってこういうことなんだなって。
それ以来、ブルックナーは聴くのも弾くのも結構好きで、そんな素敵体験をさせてくれた楽友協会でブルックナーを弾かせてもらえる機会があるというのは、なんとも贅沢だなーって思うのです。
今回の指揮者は、監督である佐渡裕さん。
大人数の壮大なオーケストラが大好きなホールに響きわたるのを楽んで弾きました。
スポンサーリンク
コメント