私の住んでいる町ウィーンでは、徐々にもう避けては通れない雰囲気になってきてはいたのですが。。
2月4日木曜日、運悪く息子のコロナウィルス陽性が発覚しました。
不幸中の幸いで息子にほぼ症状は出ず、今日2月15日から再び外出も許可されることになりました。
もしかしたら今現在、同じような状況で不安な思いをされている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方たちのために、我が家がこの10日間どのように過ごしてきたか、まとめておきたいと思います。
発熱でお迎え
2月2日火曜日
ウィーンはその日もまだ、2020年11月から延々と続いているロックダウン下にありました。
スーパーマーケットや薬局など、生活必需品を購入する店は開いていますが、レストランやホテル、ショッピングセンターなどは全部閉まっている状態です。
コンサートなどの、芸術文化関連の仕事は観客を入れての公演が禁じられているため、私たちオーケストラも、収録、録音作業以外は何もできず、ほぼ開店休業状態が続いています。
その日の朝、息子はいつも通り元気いっぱい登園しました。
ちなみに、ウィーンはハードロックダウン中、学校はオンライン授業になりますが、保育園はオープンしています。
大人は結構普通に仕事していますからね。。
保育園に子供を送り届けたのは9時ごろ。
旦那君から電話がかかってきたのは10時ごろでした。
「息子ちゃん熱があるって。保育園お迎えいける?」
熱?
朝はまったく熱はなかったし、とても元気だったのにどうしたのかな?と首を捻りました。
慌てて園に駆け付けると、やはり元気いっぱいの息子ちゃんが駆け寄ってきます。
「朝ごはんの時に検温したら37,9度あったので」
保育園の先生が申し訳なさそうに言いました。
え?そんなに!?と、息子ちゃんの額に触れてみると、、、
いや、熱ないけどな???
もしや、ご飯の前に跳ねまわったりしたのかな?
頭の中を?マークでいっぱいにしながらわたしは息子を家に連れて帰りました。
自宅で検温してみたところ、やはり熱はありませんでした。
体温計が壊れていたら、と思い念のため別の体温計で熱を測ってみたのですが、それでもやはり平熱でした。
感染源は恐らく幼稚園
家でも元気いっぱいの様子の息子。
念のため
「ご飯の味がしないとか、そういうのない?」
と聞いてみたのですが
「え?味?するよ?おいしいよ?」
とがつがつ食事を食べています。
やっぱりこれは朝食前に走り回って、体が熱くなっていたんでしょうか?
でも、さすがにこのご時世、翌日息子を保育園に登園させるのは気が憚られます。
水曜日は園をお休みさせよう、と決めて寝かせました。
翌日2月3日水曜日
朝起きた息子を検温してみたところ、ド平熱。
元気そうにしています。
それでも、幼稚園はお休みしなくちゃだめだよ、と言い聞かせて保育園に欠席を知らせる電話をかけました。
「元気ですし、平熱ですけど念のため今日お休みさせますね~」
と言った私に
「実は今職員から陽性反応が出ました。しばらく閉園になるので、その旨メールで送りますね」
との返答。
わたしは、その時すでに会社に向かっていた主人に電話をしました。
主人は大事をとって、そのまま自宅に戻ってきてくれました。
健康局に電話
保育園からメールが来ました。
コロナウィルスに感染していた職員は1日(月)2日(火)に出勤していたということで、その両日、またはいずれか一方の日に登園していた園児たちは、その職員と最後にコンタクトがあった日から10日間外出禁止という旨のメールでした。
息子は2日の朝その職員とコンタクトがあったので、濃厚接触者として12日まで隔離ということになります。
この時になって、前日一瞬起こった発熱が疑わしくなってきました。
私は、家族全員検査をすることに決めました。
オーストリアでは、コロナウィルスに感染した疑いのある人や、コロナウィルスに関して質問がある人が24時間電話できるホットラインがあります。
自宅に戻ってきた主人は、さっそくそのホットラインに電話をして今後自分たちがどうすればよいかを質問しました。
ホットラインの職員によれば、仮に1日、または2日に感染していたとしてもすぐには検査で反応が出ないので翌日2月4日木曜日に検査をすることを勧められました。
私たちはその後すぐに、オーストリアセンターというイベント会場の駐車場に特設されているコロナウィルス検査場での、コロナウィルスの検査を電話予約しました。
オーストリアのコロナウィルス検査会場
2月4日木曜日
オーストリアでは、コロナウィルスの検査はオーストリアの保険を持っている人であれば無料で簡単に受けることができます。
今日2月15日現在では、近所の薬局などでも手軽に検査が受けられるようにまでなりました。
その体制は残念ながらまだ2月4日には整っていなかったので、わたしたちは車でオーストリアセンターの検査場まで向かいました。
息子が濃厚接触者なので、公共交通機関を使うことができなかったからです。
特設会場になっている駐車場には、防護服に身を包んだ誘導係の人たちが車を誘導していました。
前日に検査を申し込んだときに送られてきたQRコードを示して、車のまま誘導される方向に進みます。
そんなに待たされることもなく、わたしたちの車はSchnelltestという簡易検査の場所にたどりつきました。
この検査では、綿棒で鼻の粘膜をとり、それを検査液に浸したあと、検査液で陰性、判断するものでした。
実は、息子が濃厚接触者になったのはこれが初めてではなく2回目でした。
前回はわたしたち夫婦はうがいの検査で、息子は喉の粘膜を綿棒で取る検査でよかったためちょっと驚いて、「喉ではだめなのか」を聞いてみたのですが、どうやら鼻のほうがはっきりと結果が出るらしく、三人とも鼻での検査ということになりました。
綿棒で粘膜をとるのは職員ですが、その綿棒を検査液に浸したり、その液を検査シートに入れたりするのは自分たちで行います。
息子は一人ではできないので、その作業は職員の方がやってくれました。
検査シートには時間が経つにつれて徐々にラインが浮き出てくるタイプのものです。ちょっと妊娠検査機に似ているかも(笑)。
「。。。」
うっすらとピンク色のラインが現れるにつれて、わたしは嫌な予感がしてきました。
自分と息子の検査シートのラインの出方が違うからです。
「旦那君、ライン何本出てる?」
「1本だよ」
「わたしも1本、息子ちゃん2本。。。」
「・・・・」
この時点で、わたしたちは、あー、息子ちゃん、かかってるな、と覚悟していました。
私たちの車はさらに誘導されて、検査結果をチェックする場所まで来ていました。
「検査シートを渡してください」
「まず息子の分から渡してもいいでしょうか。彼だけラインの出方が違うので」
旦那君がそう言って、息子のシートを見せると、職員さんの顔がぱっと曇るのがわかりました。
「彼はポジティブね」
彼女は短くそう言うと、わたしにジップロックを手渡し、
「彼の検査シートをこの中にいれて、袋をしっかりしめてください。そのシートに触ることはわたしには許されていないので」
やっぱりなあ。。。
と思いながら、なかなか開かないジップロックをこじ開けて、息子の分の検査シートを入れ、しっかり蓋を閉めてから、職員さんに渡しました。職員さんは大きいゴミ箱のような箱にそのシートを放り込むと、
「ご両親二人は陰性のようです。陽性だった息子さんだけ、PCR検査を受けてください」
と言いました。
PCR検査
わたしたちは誘導されるまま、さらに駐車場の中を車で進みました。
やがて、PCR検査会場にたどり着いたわたしたちは、簡易テストで息子が陽性だった旨を伝えました。
簡易テストはすぐに結果がわかりますが、PCR検査のほど詳しい検査結果が出ないようです。ただし結果PCR検査には時間がかかるという弱点があります。
無料のPCR検査は、簡易テストで引っかかった人だけが受けられるので、陰性だった私たち夫婦は受けることはできないとのことでした。
さっきの鼻の綿棒テストにこりごりしていた息子はもう一度検査を受けるのを嫌がって大騒ぎしましたが、ここでもやはり喉の検査にしてもらうことは不可能でした。
最終的には「終わったらアイスを食べてもいい」、という取引が成立して、息子はしぶしぶ今日2回目の鼻の綿棒テストを受け入れました。
PCR検査は、結果が出るまで時間がかかるので、検査結果は追って伝えられるということでした。
隔離の条件
こちらでは外出禁止の隔離措置のことをQuarantäne(クアランテーネ)と言います。
もしも今日私たちが検査をせず、子供が感染してることを知らなければ、息子は濃厚接触者として2月12日までのクアランテーネでしたが、コロナ陽性であることがわかった今となっては、陽性が判明した日から10日後まで、つまり2月14日までがクアランテーネ期間になることになります。
そして、たった今私たち夫婦はコロナ陽性者の濃厚接触者となったので、今から14日間、つまり2月18日までクアランテーネになることが伝えられました。
「検査する義務はなかったんだけど、検査してよかったね。。」
帰り道、車の中で旦那君が言いました。
本当です。
保育園の中には、子供に症状が出ていないから、と検査にいっていない家庭もあるでしょう。
そこから親に移り、隔離義務のないその親が職場で同僚にうつし、、というように病気は広がっていくんだなと思うと、ぞっとしました。
PCR検査のあとに、わたしたちは「隔離の心得」のようなプリント1枚を受け取りました。
そこには、
・家でもマスクを着用して2次感染を防ぐ
・トイレやお風呂は感染者と同じ場所を使わない
・食品の買い出しはインターネット。ごみ捨ても郵便ポストに手紙を取りに行ってもいけない
などの様々な情報が書いてありました。
いや、我が家、トイレもお風呂も一つしかないし。。。
ていうか、本当にごみ捨て、2週間しちゃいけないの?
2週間のごみ、どこにおいておくんだよ、、、
というのが私的には一番の絶望でした。
第二の絶望はスーパーマーケットのオンラインショッピングにありました。
注文から配送までが5日間もかかるんです。。。
あと5日、どうやって生き延びればいいんでしょう。。。
コロナウィルスの隔離措置がある限り、ある程度の食料の備蓄は必要だなーと痛感しました。
クアランテーネに入るにあたって
検査結果を受けて、まっさきに私たちがしたのは、保育園と職場への連絡です。
保育園に電話をして
「息子も感染していました。念のためご連絡いたしました」
と報告したところ、
「お大事になさってください。この内容のお電話ですが、残念ながらお宅が初めてではありません。。」
と、息子ちゃん以外にも何人も感染者が出ていたことを仄めかす回答がありました。
旦那君は職場にホームオフィスに矯正切り替えになる旨を電話連絡。
わたしのオーケストラは去年秋から、コロナに感染、または濃厚接触者になった場合は、「証明書をPDFで添付して係の事務員に送る」という方法で統一されていたので、PDFを事務局に送付しました。
わたしはちょうど偶然、隔離期間中オーケストラの仕事が降り版だったので、仕事に穴を開けなくて済んでほっと胸をなでおろしました。
まったく現れないコロナの症状
コロナウィルスに感染した場合、検査で陽性が発覚した場合に無症状でも、その後症状が出るというパターンが多いのだそうです。
症状がでるのは、平均して感染から5~6日後だということです。
もしも、2日に感染していたのならば、7日から8日にかけてが注意する日だな、とわたしは内心ドキドキしていました。
PCR検査の結果がSMSに添付されたリンクで送られてきたのは、検査から3日後の2月6日土曜日でした。
結果は、わかっていたことでしたが、やはり陽性でした。
隔離期間中朝晩2回、私たち家族は体温を測り続けましたが、一向に発熱する気配はありませんでした。
陽性の息子も、10日をすぎても鼻水1滴たらさず、咳一つせず、なんの症状も出さずに元気に家の中を駆け回っていました。
陽性者を家族に持った感想としては、
「これは、感染に気付けない」
ということです。
子どもを持っている人ならわかると思いますが、子供がもうすぐ風邪を引きそうなとき、もうすぐ熱を出しそうなときというのは
「、、、なんか怪しいな、、そろそろ熱だしそうだな、、」
という予感がしますよね。
それが、全くないんです(汗)
いつもと一緒。
よく食べて、機嫌もよく、熱も鼻水も咳も、
なーーーんにもない
強いて言えば、幼稚園で一瞬熱が出たというあれ?が症状だったのか?
今となってはさっぱりわかりません。
そして、もう一つわかったこと。
小さな子供が感染してたら、2次感染を防ぐというのはほぼ無理ゲー
ということです。
乳児や幼児はお風呂に一人で入れなかったり、トイレに行けなかったりします。
歯磨きだってお手伝いが必要。
完全に接触を断つなんて、はっきり言って無理です。
わたしはもう、うつることを前提に、
「せめて旦那と同時期に倒れないこと」
を目指すことにしました。
旦那を別の部屋に隔離し、わたしと息子ちゃんは一日中マスクをして一緒に過ごしていました。
抜き打ち検査はあったのか?
本当にクアランテーネの期間中、外出していないのか、という警察による抜き打ち検査があるということですが、我が家には現在のところ、まだやってきていません。
まあ、感染者数も多いし、そんなにやってないんじゃないかなー。。
ただ1日1回、市から健康状態を知らせるアンケートのリンクがついた欠かさずSMSが送られてきたり、ウィーン市から「コンタクトトラッキング」と呼ばれる確認電話はかかってきています。
主に、
・最後に仕事をした日は何日か
・陽性が確認される直前誰に会ったか、どこに行ったか
・どこでうつったか心当たりはあるか
などを根ほり葉ほり聞かれました。
わたしたちはその電話を受ける前日に保育園から
「職員の3分の1から2分の1がコロナウィルスに感染していることがわかりました。多くの園児の感染も確認されていることから、休園が終わったあとも子供を登園させるときは検査をすることをお勧めする」
という内容のメールを受け取っていたため
「多分保育園で感染したんだと思います」
と伝えました。
これ、日本だったら保育園のクラスターとしてちょっとしたニュースになると思うのですが(笑)こちらではまったくのスルーでした。
この程度のクラスターが日常になってしまっているんでしょうねー(涙)
クアランテーネが明けたら
そんなこんなで、今日とりあえず息子ちゃんの隔離措置だけが明けたので、念のため再度保健局に電話しました。
「今日で息子だけ隔離が明けるのですが、息子はもう家でマスクをする必要がないのでしょうか?また、もう感染していないか検査する必要はないのでしょうか?」
と確認したところ、この隔離期間は少し余裕を見ての日数になっているので、昨日一昨日に症状が出ていないのであれば、もう検査も必要なく普通に過ごしてよいとのことでした。
とりあえず安心しました♡
あとは、わたしたち夫婦があと4日発症せずに乗り切れば、この騒動はとりあえず幕を閉じるという感じです。
ちなみに、2週間分のごみ袋、わたしたちどこに置いていたと思いますか?
正解は、玄関!
この場所を提案したのは旦那君
「いくらなんでも玄関に2週間ぶりにゴミ袋はないでしょう!」
と始めは反対したわたしでしたが、
「なんで?いいじゃん、どうせ2週間外に出られないんだし」
とあっさり論破されました。
まとめ
日本は、ヨーロッパのように大きなロックダウンもなく、ある程度通常の生活ができているということで、本当にうらやましい限りです。
オーストリアは今日、今後の措置について再び発表があり、芸術文化の再開は早くとも4月のイースターの時期になると伝えられました。
南アフリカやイギリスの変異株に、警戒を示しているのでしょう。
1年間も仕事ができず、腹立たしい思いをしていたわたしですが、今回家族から陽性者が出たことで、ウィルスがいよいよ身近にせまっていること、家庭内で2次感染を防止することの難しさを実感しました。
生きている限り、ある程度行動をしなければならないので、100%感染を防ぐことは難しいと思いますが、今後さらに気を引き締めてなるべく外出や行動を制限しようと心に強く決めた10日間でした。
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