リーダーシップオーケストラが最近売れてるらしい

ウィーンでも東京でもそうなんだろうけど、オーケストラ弾きで本当にオーケストラだけしか弾いてない人ってあんまりいないんじゃないかなあ?

みんな、室内楽したりオーケストラ以外のアルバイトしたり結構いろいろやっていると思うんですよね。

ウィーンでよくある音楽バイトといえばやはり人に教えたり、教会でミサを弾いたり、他のオーケストラに出張に行ったり、というものが多いんじゃないかと思います。

わたしはそれに加えて、ポテンシャル半端ない同僚が女社長をやっている音楽事務所みたいなところから、いろんな現場に派遣されています。

その中で最近おもしろいなーと思う仕事が「リーダーシップ・オーケストラ」というもの。

これ、日本にもあるのかな?

日本でフリーランスしていたときには、大学生なのに女子高生のコスプレさせられて弾いたり、無人島で芸能人のプロモーションビデオの撮影に楽隊として参加したはいいけど帰りの船を逃してその無人島で一夜を明かす羽目になるとか、結構バラエティに富んだ仕事をやってきたんだけど(笑)、この「リーダーシップ・オーケストラ」に似たような仕事はなかったような気がするんですよね。

どんな感じの仕事かっていうと、指揮を全くしたことがない、全く音楽とは無関係の職業の人たちが指揮をすることを通して「リーダーとして必要な思考や行い」を学んでいこうじゃないかっていう試みらしいんです。

今日はウィーン1区にある「音楽家の家(Haus der Musik)」という施設のホールで、某大手航空会社のメンバーの方たちを相手にバイオリンを弾いてきました。

今回雇われたミュージシャンはバイオリン4人、ビオラ2人、チェロ2人。

今回この「リーダーシップオーケストラ」のセミナーを受ける人の数が多かったので、わたしたちは2つの弦楽四重奏に分かれました。

ちなみに、ウィーンの「音楽家の家」には、ウィーンで活躍したさまざまな音楽家の貴重な資料や所持品が展示されていたり、ウィーンフィルをバーチャルで指揮できたりという遊び要素もたくさんある施設。

その施設の最上階のセミナールームが今回の会場です。

窓からウィーンの街が一望できます。
あー、これが自分の家だったら。。。笑

会場に到着したのはお昼頃。
まず、今日弾く曲を確認し1時間ほどリハーサル。

今回演奏曲として選ばれていたのは

スメタナ「モルダウ」
ヴィヴァルディ「冬」
ヨハン・シュトラウス「ラデツキー・マーチ」
モーツァルト「トルコ行進曲」

など、クラシック音楽が好きな人でなくても一度は耳にしたことがあるような名曲ばかり。
もちろんこれらの曲はオリジナルは弦楽四重奏のために書かれていないので、編曲された楽譜を使うことになります。

リハーサルのあとは、15分ほどの休憩。
セミナー生のためのおいしいビュッフェのご相伴にあずかり、いよいよ本番です。

今回わたしが演奏するカルテットを指揮するのは6人の航空会社に勤める方たち。

セミナー参加者の方たちは、自分自身でどの曲を指揮したいか決めたそうです。

一番最初に指揮をしたのは、年配のご婦人。選んだ曲は「モルダウ」でした。
何故、この曲を選んだのか、どういうイメージで指揮をするのか、どの部分をどう弾いてほしいのか、ということを、まず一通り口で説明されます。

このくだりは、プロの指揮者はやらないところですよね。
口で言わずとも、棒で説明できるからなのかな。

セミナー生の方たちは、おうちで練習してきてくださっているようですが、なにしろ人生で一度も指揮をしたことのない方々たち。

もちろんうまく行くわけがありません。

わたしたちは、うまく指揮できていない部分を補って弾くのではなく、「指揮者が指揮をした通りに正直に弾く」ことが使命です。

なので、まず1音目も揃って入れないし、曲の途中でテンポはぐちゃぐちゃになるし、曲が終わってもいつまでも音を伸ばし続けなければならなかったりなど、ハチャメチャの展開に。

こういう企画は子どものための音楽教育なんかでもあるんですが、このリーダーシップオーケストラがそれと違うのは、わたしたちが指揮者の人と「なぜうまくリードできなかったかを話し合う」ことなんです。

例えば、曲の始まりがうまく始まれなかったとしたら

「わたしたち、まだ準備できてなかったのに曲がいきなりはじまっちゃったからついていけなかったんです」

とか、

指揮者の動きが多すぎて何を求めてるのかさっぱりわからなかった時などは、

「指示を出してくれるのはいいんですけど、情報量が多すぎて混乱しました。もっとシンプルな指示だったらついていけたんですけど」

などとうまく指揮者が思うような演奏を引き出せなかった理由を説明します。

なんか、ちょっとレッスンに近い感じです。
とはいっても、テクニックに関してはノータッチの修正点だけを挙げます。

で、この注文が「リーダーシップ」をとることにおいて、重要な項目になりえるのだそうです。

確かに「何を求めてるか明確に伝える」「されど情報が多すぎてはいけない」とか、リードをとるためには必要なことですよね。

セミナー生の方たちが、レクチャーを繰り返すうちにみるみる的確に指示を出せるようになり、音楽が豊かになっていくのを体験するのは、わたしたち音楽家にとっても楽しい時間でした。

ただし、このリーダーシップオーケストラ、多くの場合が英語で話さなければいけないので、英語が苦手なわたしは、「もっとしゃべれば思ったこと細かく伝えられるのにな。。」と悔しく思う場面がすごく多かったです。(涙)

英語最後に勉強したのなんて、もう何十年前とかだからなー。だー
また勉強し直さなくちゃいけないな、と反省した一日でした。

 

 

 

 

 

 

 

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