みなさん、はじめて自転車でおでかけしたり、車の免許を取得した時のことを覚えているでしょうか?
「うわっ、やばっ!行動範囲広がりすぎ!」
と感動されたのではないでしょうか?
バイオリンにおいて、演奏できる範囲を驚異的に広げてくれるのは「チェンジポジション」というテクニックの取得です。

えー!すぐにやってみたいです!どうやって練習すればいいですか?!
楽しみですよね。それでは、さっそくチェンジポジションの練習方法について説明していきましょう。
長くなるテーマなので、今回は「1の指で1のポジションから3のポジションに移動する方法」についてのみ説明しますよ。
それ以外の指を使いたい場合やそれ以外のポジションに移動したい場合は、その②以降の記事を参考にしてみてくださいね。
チェンジポジションって何?
平たく言うと、バイオリンのネックを支える左手の位置を変化させるテクニックです。
このテクニックを取得することにより、今まで弾くことのできなかった高い音や、新しい音色の音を弾くことができるようになります。

イメージで言うと、今までビルの1階しか移動できなかった人が、エレベーターの鍵を手に入れて上の階に上がれるようになるような感じだと思ってください。
チェンジポジションはいつごろから練習すればいい?
主要な教本を例に挙げると、スズキバイオリン教本では3巻から、新しいバイオリン教本でも3巻から、チェンジポジションが登場してきます。

それより前にはチェンジポジションを練習してはいけないのですか?

教本の進行度合いはあくまでも目安です。
ですが、やはり1のポジションが安定して弾けるようになって初めて、チェンジポジションをするようにしたほうがいいと思いますよ。
バイオリンの左手にはどんなポジションがある?
「チェンジポジション」といいますが、そもそもバイオリンにはどんなポジションがあるのでしょう?
バイオリン始めてすぐ習うポジションは、1のポジション(ファーストポジション)です。
このポジションでは1の指が、G線、D線、A線、E線の順に「ラ・ミ・シ・ファ♯」の位置に置かれます。
下の表を見てみましょう。
1のポジションの時に、2の指で押さえるのはG線、D線、A線、E線の順に「シ・ファ♯・ド♯・ソ♯」ですよね。
この、本来は2の指で押さえるべきの音たちを1の指で押さえる手のポジション、それが「2のポジション」なんです!

左手を少し自分の顔のほうに向かってずらす感じになるということですよね。

その通りです。それでは、3のポジションはどこだと思いますか?

1のポジションで、3の指で押さえるべきだった「ド・ソ・レ・ラ」を1の指で押さえる場所でしょうか?

その通りです!このように、左手を高い音のほうにずらしていくことによって、より高い音を弾くことを可能にしていくんです。
ロマン派以降の難曲では、普通に8のポジションや9のポジションなどが登場してきます。
でも、まずはそんなに高くないポジションに移動するテクニックからスタートしていきましょう。
チェンジポジションの練習をしていこう
まずは1の指で1のポジションから3のポジションに移動してみよう
チェンジポジションは、まず1のポジションから近い3のポジションへの練習をしてみるといいと思います。

1のポジションに最も近いのは2のポジションですが、なぜ3のポジションへの移動を先に練習するのですか?
写真で確認してもらうとわかるのですが、2のポジションの手の形はこんな感じ
3のポジションの手の形はこんな感じになります。
2のポジションでは、手と楽器の接点が少なく少し宙ぶらりんな位置にあるのに対し、3のポジションは手首付近が楽器に当たっていて、手の位置を固定しやすいことにお気づきでしょうか。
この「3のポジションは手首が楽器に当たる」ことを利用すると、うまくチェンジポジションをすることができるんです。
①まずは3のポジションの位置を確認しよう
まずは、いつもは3の指(薬指)で押さえてるA線の「レ」の音を人差し指で押さえてみてください。
大体、手がこの辺に行ったでしょうか。
そうしたら、左手首付近が楽器と接触しているか確認してみてください。
接触している人は、

すいません、全然接触していないんですけど。。。
人差し指でレの音を押さえているのにもかかわらず、下の写真のように左手手首付近が楽器に接触していない人も結構多いのではないかと思います。
そうしたら、少し腕の角度を横に寝かせるようにして、「指を押さえている位置は変えずに、手首をとん、と楽器に当ててみてください」。
当たりましたか?
角度を調整して、手首が楽器に当たるところを探してみましょう。

できました!当たりました。
ありがとうございます!
できたら、手のどの辺が楽器に当たっているか、よーく感じて覚えてくださいね。
②3のポジションの場所を確認したら、1のポジションに戻る
3のポジションの場所、インプットできましたでしょうか?
できたよー、という方は、手を1のポジションに戻します。
A線のシの音を、いつものように1の指で押さえてみましょう。
準備完了ですか?
いよいよ1の指で1から3のポジションに上がって来よう!
そうしたら!
そこから、さっき確認した3のポジションのところまで1の指を引きずりながら上がってみてください。ポルタメント(ニューニュー言う音と音の間を引きずる音)が入ってしまっても現時点では構いません。
コツは
です。
楽譜にすると、こんな感じです。
どうでしょう?3のポジションのレの音は正しい音が出たでしょうか?
■正しい音が出た人
その調子です~!何回も繰り返してみてください。打率8割くらいになるまで繰り返してみましょう。
■音程が高くなる
手が高いところまで行き過ぎてしまっています。もう一度①の練習に戻り、3のポジションの手の位置を確認してください。
★チェックポイント
・チェンジポジションのスピードに勢いがつきすぎていないか。
まずは手の動きはゆっくりとしてください。ぶつけるときは、ゴン!とぶつけるのでなく、トン、と軽く当てるイメージで
■音程が低くなる
手が移動しきっていません。
もう一度①の練習に戻り、3のポジションの手の位置を確認してください。
ネックを左手で握ってしまうと、摩擦で上がってこれなくなります。触っているだけの感覚で移動してきましょう。
★チェックポイント
・親指が1のポジションの場所に取り残されていないか
・親指と人差し指で楽器のネックを握りしめていないか
・チューナーで→チューナーでレの音を出して、その音と自分の出した音が一緒か確かめる、または目で見て音程を合わせる設定にして、自分で弾いた音がDの場所で針が真中に来るか視覚で確かめます。

ピアノもチューナーも手元にないときはどうしましょう。。
そんなときは、自分のバイオリンの開放弦の音を頼りにしてみましょう。
バイオリンの2番目に低い開放弦はレの音ですよね。
この音は、今チェンジポジションして取りたい「レ」の一オクターブ下の音です。
3から1のポジションに降りてこよう
うまく1の指で1から3のポジションに上がってこれるようになったら、今度は3のポジションから1のポジションに下がってみましょう。
1のポジションはいつも使っている場所だから、うまく降りれるのではないでしょうか。
楽譜にするとこんな感じになりますよ。
降りるのがうまくいかない人は、たいてい降りきれずに「シ」の音が高くなる傾向にあると思います。
そういうときは以下の点をチェックしてみてくださいね。
・親指が3のポジションに取り残されていないでしょうか?降りるときは、親指が先行する感じで降りてきましょう。親指が1のポジションにほかの指を導くつもりで移動してください。
A線で1から3のポジションの往復がうまくできるようになったら
A線でうまく移動ができるようになったら、今度はそれぞれほかの弦でも同じ練習をしてみましょう。
楽譜にしてみるとこんな感じです!
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