今日はグラーフェネッグという、ウィーンから一時間ほどの街にあるホールでマエストロ佐渡さんと新しいCD録音です。
舞台のあちこちにマイクが設置されていますね。
わたしたちは舞台の上で普段通りに演奏します。
録音にすごく大切な役割を果たすのは、録音技師さん。
録音技師さんは別室で作業をしており、「こことここがよくなかったから、〇小節めからもう一回ね!」って指示を出してくれるんです。
もちろん、別室から走って指示を出しにくるのではなく、スピーカーから録音技師さんの声が聞こえてくるようになっています。
写真だとちょっと見えづらいかな?今回は指揮者席の横に黒いスピーカーが取り付けられてます。
こちらの声もマイクを通して録音技師さんに伝わるので滞りなく録音が行われるというわけです。
録音技師さんはドイツ語でTonmeister(トーンマイスター)といいます。
日本語に訳すと、音のマスターって意味です。
なんかかっこよくないですか?
めっちゃえらそう(笑)。
オーストリアでは、音楽大学にトーンマイスターのコースがあり、そこで専門的な勉強をした人がプロになっていくんです。
ただの機械に強い人なんじゃなくて、耳も頭も良い人たちばかりなんですよね。録音においてはほぼ指揮者的な役割を果たすわけですから。
さすがマイスター。
余談ですが、録音技師さんの中には音大卒でなく、「単に録音ができる技師さん」という人もいます。
そういう人は普通はクラシック音楽の録音には携わりません。
ところが!一昨年かな。
依頼を受けてわたしたちの弦楽四重奏団(カルテット)がLuxという作曲家の曲を録音することになったとき、依頼主が何を思ったか音楽大学を出ていない「単に録音ができる技師さん」を雇ってしまっていてたんです。
で、その人は当然
「録音や編集はできるけど、どこをどう直したらよいかはわからないよ」
という状態で、恐慌状態に陥ったことがあります(汗)。
結局その時は、わたしたちカルテットが「演奏→録音をプレイバック、悪かった場所をチェック→もう一度演奏」というトーンマイスターがやるべき作業もわたしたちが担ったため、録音時間がかっつかつになったトラウマがあります。
オーケストラの録音ではそういうホラーがおきないから本当助かります。
今回録音する曲はラヴェルの「ボレロ」と「亡き王女のためのパヴァーヌ」、そして「ダフニスとクロエ」。
フランス物のCDになるんですねー。
録音一曲目は「ボレロ」だったのですが。。。。
やっべ・・・・。
小太鼓の真横じゃん。。。
出だしはいいの。出だしは、静かだから。
でも、最後の数分、小太鼓めっちゃうるさいんだよー!
知らんふりして途中から2台になってるしね!(涙)
うちのオーケストラでは、音楽家の耳を保護するため音楽家専用の耳栓のようなものを支給してくれているのですが。。。
欲しい、と思う時は大抵家に忘れてきてるんですよねー。
あーあ。今日は耐えるしかない。。
思ったよりもはやくボレロの録音は終わり、次は亡き王女のためのパヴァーヌ。
これはわたしが高校生の時にすごくはまった曲で。
もう全部全部全部美しい。美しくない瞬間がない!と大興奮した一曲なんです。
ホルンが地獄のように難しい曲ですが、こちらも設定時間より早く終了。
その後ダフニスとクロエを少し録音して今日の仕事は終わりました。
明日も午後から夜にかけて録音です。
素敵なCDができるといいなあ。
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