バイオリン奏法 レオポルド・モーツァルト

7日間ブックカバーチャレンジ4日目!

テーマはぶれずに、今日もどニッチなテーマで参ります。(笑)

今日ご紹介するのはこちら。


レオポルド・モーツァルト著「ヴァイオリン奏法」
これは業界ではすっごーく有名な本なので、専門的にバイオリンを弾く人、または教える人ならばすでに読んだことがあるかもしれませんね。
まだだったら、本当にお勧めなのでぜひ読んでみてほしい一冊です!
著者のレオポルド・モーツァルトはあの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」などを作曲したヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのお父さん。
モーツァルトって聞くと、どうしても
「突如彗星のように現れた音楽界の大天才」

みたいなイメージを持ってしまいますよね~。

でも、この本を読むと思うんですよね。。。
すごかったのは、このパパだったんじゃないかと。。。
この本を読んでいると、パパがいかに優れた教育者であったかということが見て取れると思います。
もちろんモーツァルトにはとんでもない才能がありました。
これは覆しようのない事実だと思います。
でもパパの知識と教育への情熱がなければ、クラシックの歴史は全く違ったものになっていたかもしれないなー。
内容はタイトルの示すように、「ヴァイオリン奏法」に関することが多くをを占めていますが、全打音や装飾音、トリル、楽譜を正しく読むことはどういうことかについてなど、楽器演奏者全般に通じる部分もすごく興味深いです。
すごく助かるのは楽譜付きで
「こういう風に書かれている時は、こういう風に弾かれるよ」
と理由付きで説明してくれているということ。
実はわたし、いまだにモーツァルトの時代の楽曲の譜読みのとき、全打音の長さを迷ってしまうことがあるんですよね、ここだけの話。。
いや、何十年もバイオリン弾いていて全打音の長さ迷うとかないでしょ、って思うでしょ?
でもですよ、でもですよ。
例えばこう書いていたら、どう弾きます?
正解行きますね。実際はこう弾きます。
では第二問。これはどうでしょう?
これは、こう弾くのが正解。
なんでやねん??
って思った人は、ぜひこの本を読んでみてください。
すごくわかりやすく説明してある!
でも知らなかったら、こうやって弾くっていう発想にすら至らないと思いません?
わたしがこの本を買ったのは、まだ学生のときでした。
その時は、当時のアーティキレーションや当時の指使いなど、バイオリン奏法について取り上げられている箇所が特に興味深かったことを覚えています。
その後、少し人を教え出すようになってから、改めてこの本を読み返して目を引いたのは、教育法についての内容。
もう、いきなり第一章から

初心者が、本章と続く2つの章を覚えるまで、教師は彼にバイオリンを持たせてはなりません。さもなく、生徒が夢中になって耳でいろいろな曲を覚え、基礎を無視してバイオリンを弾くようになってしまったら、その生徒は自分がなおざりにしたものを決して取り戻すことはできないし、また立派な音楽を身につけることもできないでしょう。

出典:バイオリン奏法 レオポルド・モーツァルト著
という言葉から始まっています。
音符の種類、拍子の種類、休符、付点の長さ、基本的な音楽用語までをきちんと覚えるまでは
生徒に楽器を持たせない
という徹底ぶりを示しています。
これはさー、教える方からするとさー。。

耳が痛いよねー。。

わかってるけど、わかってるけどさ。。。
これやると、みんなやめちゃうからさ。。。(笑)
と、処々の事情により、全員に対して簡単には採用できない部分もあります。
でも、

初心者に拍子を教えるのに骨惜しみをしてはなりません。(~中略~)バイオリンはかなりうまく弾けるのに、特に遅い曲などではテンポのとれない演奏者がいる(~中略~)4拍をきちんと弾くことができず、聞き覚えでなんとなくそれらしくやるのです。長い音符では拍がのび、速い音符はただ急いで、一言でいえばまねごとであり、くずれています。生徒が正規の教えを受ける前にバイオリンを手にするとこうなるのです。

出典: バイオリン奏法 レオポルド・モーツァルト

ああああああ、これあるあるだー!
レオポルド・モーツァルトがこの「ヴァイオリン奏法」を書いたのは1756年、、つまり今から264年前ですよ。
そのとき、すでにレオポルド・モーツァルトは
基礎がしっかりするまでは曲を教えるなと。
っていうか楽器すら持たせるなと。
しかも
「生徒さんのご両親は、たいてい自分の子がメヌエットとかちょっとした曲を弾けるようになってやっと、月謝払った甲斐があったなーと実感するもんなんだよ。だから教師も、ろくに生徒が音階も弾けていないのにいきなり曲を与えたりするような間違いをおかすんだよ」
みたいなボヤキまで書いてるんですよね。
正座したくなってきた。。。
確かに生徒さんたちの基礎は固めたいけどさ。
基礎ばかりじゃ続ける喜びって湧いてこないもんだし。
今と264年前じゃ、時代も生活様式も何もかも違います。
でも、ここまで現在でも内容が古くなってない本ってあるんだろうか。。。としみじみと感心してしまいます。
さらに子どもを持つようになってからこの本を読むと
「子供なんて親の言うこと聞くわけないのに、自分の子どもにこの教育を与えられるレオポルドSUGEEEEEE!」
ってなるし、なんかいろんな観点からいろんな発見がある本だと思います。
音楽に携わっている人であれば、必ず目から鱗の一節に出会える本だと確信しているので、まだ読んでいない方はホントお楽しみに!
本屋さんなどで見かけたときは、是非手に取ってみてくださいね。

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