死と変容

先週の金曜日はコンテンポラリーの曲6曲の演奏会を夕方に弾き、同日夜にウェーバー「オベロン」、細川敏夫「バイオリン協奏曲」、そしてベートーヴェン「エロイカ」のプログラムでもう1つ演奏会という、体力勝負の1日でした。

今週は少しリラックスしたプログラムの演奏会のリハーサルが始まっています。
曲目はわたしの大好きなブラームス「バイオリン協奏曲」、リヒャルト・シュトラウス「死と変容」そして「ばらの騎士より ワルツ第一番」。

わたしは昔からリヒャルト・シュトラウスの大ファンで、全部の曲が好きなんですが、この「死と変容」も本当にすばらしい作品。。。😢

この作品内で、死との最後の戦いに挑んでいる人は、結果その運命に勝てず命を落とすんだけど、走馬灯のように幼い日、若い日のことを思い出すシーンの音楽は本当に胸熱。

映像としてわたしの頭をよぎるのは、なぜかヘルマン・ヘッセの「荒野の狼」の一場面なんですよね。

そのシーンは主人公が初恋の少女を思い出す場面なんですけど、太陽の日差し、草原を渡る風、噛んだ新芽の苦さが口の中に広がる感じなんかがすごく生き生きと描かれていて、ここまで小説でリアルに五感を刺激されたのが初めてだったからすっごく印象に残っているんですよね~。

「死と変容」では、主人公は肯定的に自分の人生を振り返り、最後にはその魂は浄化、変容されていきます。
とてつもない慰めのある曲で、ホント、まだ聞いたことのない人は一度聞いてみてほしいです。

そういえば「死」とそれに抗う人間をテーマにした曲ってほかにもいろいろありますよね。
有名なのだとシューベルトの「死と乙女」。あとアルバンベルクの「バイオリン協奏曲」とか。

運命と激しく戦うシーンを経て、「死と乙女」では最後に悪魔が「死は安息、安らかに眠れ」とやさしく歌うし、アルバンベルクでは「もう十分」と主人公が安息を懇願する作品になっていて、どちらもぞっとするほど穏やかなコラールが流れます。

作品を通じて、作曲家たちが死をどんな風にとらえていたかが垣間見えて興味深いな。

オーストリアはまだ8月だというのに、すでに冷たい風が吹きすっかり秋の装い。
土曜日のコンサートは屋外が予定されていたけど、きっと寒すぎるから屋内ホールに変更になりそうな雰囲気です。

最後にもう一度、夏の太陽の日差しが戻ってこないかな。

 

 

 

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