今日はSchloss Tahlheim(タールハイム城)というウィーンから30分ほど離れた場所にあるお城のホールでポップスコンサートの演奏です。
タールハイム城は、お城と言ってもホテルとかスパとかレストラン、ティーハウスからチャペルまで、いろんな施設が揃ったリゾートっぽいところなんです。
城をホテルにしようかなって発想って、なんか外国っぽいですよねー。
日本の城は、泊まるって雰囲気じゃないですもんね。。。
あ、でももしかして、日本にも泊まれる城ってあるのかしら。
あったらちょっと泊まってみたい。
信じられないのですが、このお城、完全な廃墟だったんですって。
それをお金持ちの人が買い取って投資して、こんなに美しく生まれ変わらせたのだそうな。
「その改装費用、いくらだと思う?」
こういうオーケストラ以外のバイトを持ってきてくれるのは、同僚のJ。
室内楽の仕事の企画や売り込みが上手過ぎて、10年ほど前ついに会社を立ち上げてしまったやり手の女性なのですが、彼女がにやりと笑いながらそう聞いてきました。
「えー。わからん。。2億円くらい。。?」
「残念でした。正解は。。」
「正解は?」
「500億ユーロ」
。。。。?
「えっと、500億ユーロって、、、何ユーロ?」
「500億ユーロは500億ユーロだよ。」
なんか、桁が大きすぎてどのくらいの金額なのかさっぱりわからん。
とにかくすごいお城らしい。
と、生々しい話はこの辺にしておいて、今回の会場はこちらー。
このドーム型の天井、オリジナルをそのままにしてあるんだろうな。
綺麗だけど、変わった形だから音響的にちょっと難しいかも。。。
客席はざっと見た感じ300席弱といった感じでした。
結構入るね。
椅子が固定されているタイプではなく、並べる仕組みです。
つまりチケットがバンバン売れたら席を詰めて設置できるということ。
詰めれば400席くらいは行けそうな感じです。
今回はソリストのガンダルフさんの希望で、ゲネラルプローべ(通し稽古)はあまりみっちりやらない、ということになりました。
本番を後にひかえているから、本番に体力と精神力を残しておきたい人は結構そうすることが多いんですよね。
わたしも演奏会当日はあまり練習したくない人なのでよくわかります。
かといって、全くリハーサルなしでは成り立たないのがポップスコンサート。
と、いうのはマイクなどの音響が入るからなんです。
そういうときは、必ずサウンドチェックしないといけないんです。
やたらムーディーな舞台です(笑)。
こういう時は、譜面台に照明灯をつけて演奏するんですよ。
じゃないと楽譜見えない。
サウンドチェックでは、それぞれの演奏者が音を出して、マイクの音量のバランスを取っていきます。
また足元にあるスピーカーから、特定の音楽家の音を強めに聞かせてほしい、などといリクエストをしたりもします。
マイク使うコンサートの場合、スピーカーの返しがないと、全く聞こえなくなっちゃうパートもあるんですよね。
クラシックとはいろいろ勝手が違ってなかなか興味深いものです。
サウンドチェックが終了したら、楽屋で一休み。
楽屋っていってもさすが城の一室。
我が屋の総面積より大きくて微妙にへこみました。
今回は、ケータリングとしてホテルから軽食が出ました。
じゃがいものグーラーシュという、オーストリアの家庭料理です。
メンバーの中には
「お肉のグーラーシュが良かった。。。」
と泣いていた人もいますが、サービスなのでわがまま言わないように(笑)。
食事が終わったらコンサートまでの間少しお散歩。
すっかり秋ですねー。紅葉が綺麗だ。。。
コンサートは大盛況でした!
だがしかし。
一番前の席に2歳くらいと3歳くらいの子どもが座っていました。
子どもの入場OKと聞いてはいましたが、これは、、、どうなるか。。
とヒヤヒヤしていたところ、やはり子供たちは途中で飽きて(笑)プチ運動会状態に。
日本のコンサート会場では、よほど子ども向けのコンサートじゃないとありえない光景です(笑)。
それでも滞りなく演奏会は終了し、ガンダルフさんがメンバーの紹介をしてくれました。
それぞれのメンバーの名前を呼び、
「すばらしいコンサートにしてくれてありがとう。そして、君たちも」
と、そのおちびちゃんたちの方に腕を差し伸べて、
「ありがとう」
と、なんと子どもたちを舞台の上に呼びよせました。
子どもたちは、舞台の上で気恥ずかしそうにはにかんでいます。
大人たちは大きな拍手。(親はもちろんスマホでめっちゃ写真撮ってました(笑))
あー、なんかこういうのいいな。
もちろんさ、お金払ったんだからゆっくりコンサート聞きたかったお客さんがほとんどだと思うんだけど。
演奏会中ヒヤヒヤしていたであろうご両親は救われただろうし、若干不愉快に思っていた他の観客の人たちもあっという間に笑顔になる瞬間をみて、すてきだなあって思っちゃった。
そういえば、今日ガンダルフさんが舞台に上がる前に
「楽しまなくちゃあ。楽しむために音楽があるんだよ」
って言ってて、それもいいなあって思ったんですよね。
多分、若いパーカッション奏者がちょっと硬くなってたから彼に向って言ったんだと思うんですけど。
もしも、わたしにも若い時にこんな風に本番前に声をかけてくれる人がいたのなら、ちょっと音楽家人生変わっていたかしら。
学生のときは、わたしにとってソロの本番って怖いものだったから。
追い詰めるのではなくて、包み込むような、こんな対応ができるようになればいいよなー、と音楽面だけではなくいろいろ学んだ本番でした。
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