オーストリア9つの州 その特徴と観光スポット&住み心地

オーストリアというと、首都があるウィーンのイメージしか湧かない人も多いかもしれません。

でもオーストリアは9つの連邦州からなる国。
ウィーンはこの9つの州の中でも最小の州なんですよ。

観光でオーストリアを訪れる場合は、どうしてもウィーンだけに意識を集中してしまいがちですが、ウィーン以外の州にもオーストリアの魅力はぎっしりと詰まっています。

今日は、オーストリア9つの州についてのお話しをしたいと思います。

※この記事は2018年の記事を2021年の情報でリライトしたものです

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[ウィーン州]最小の面積、最大の人口

オーストリアで一番有名な州といえば、やはりオーストリアの首都州ウィーンでしょう。

でも実はこのウィーン州、面積は414,65平方キロメートルと割と小さいんです。
これは大体宇都宮市くらいと同じくらいの広さです。(笑)

でもその小さな面積の中に、見所がぎゅっと詰まっているのがウィーン。

ウィーンはかつて、名門王家ハプスブルク家の君主が統治したオーストリア=ハンガリー帝国の首都でした。
いまでこそオーストリアは面積的には北海道と同じくらいの小さな国ですが、過去には広大な領土を誇っていたんですよね。

そんな訳でウィーンでは今でも、博物館や美術館などで貴重なハプスブルク家の遺宝を見ることができます

でもわざわざ博物館などに行かなくても、街並みが当時とあまり変わっていないので、街歩きをしているだけでも巨大な博物館の中を散歩しているような気持になること間違いなしでしょう。

また、モーツァルトやベートーベンなど、偉大なクラシック音楽の作曲家たちが活躍した街だったことから、今でもウィーンは「音楽の都」と呼ばれており芸術活動が盛んです。ウィーン・フィルハーモニーという世界でトップクラスのオーケストラも、ウィーンを拠点に活動しています。

オーストリアに数日しか滞在できない、というのであれば、やはり見所が集中したウィーンを訪れることをお勧めします。

ウィーンに住んでみた感じ

現在でも、多くの難民、移民の人々がオーストリアに移り住もうと試みています。
その難民移民のほとんどの人たちはウィーンへの移住を希望しています

先ほどお話ししたように、ウィーン州はオーストリアの州の中で最小の面積ですが、人口は1億9千万人(2021年)とオーストリアの中で最高です。

今回なぜそんなにウィーンだけが人気なのか考えてみました。思いつくこととしては、
・交通網などが整っているので車がなくても住みやすい
・コンサート、映画、イベントなどエンターテイメントが多いから住んでいて楽しい
・仕事が得られるチャンスが多い
・子育てのサポートが大きい
・そもそもインターナショナルな都市だから、外国人として差別されづらい

などの利点の多さです。
これは日本でも東京に人口が集中してしまうのと、ちょっと似ていますよね。

オーストリアに移住を考えてる方で、シティライフを快適に満喫したいタイプの方は、ウィーンがぴったりでしょう。

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[ニーダーエスタライヒ州] ウィーンを取り巻く巨大な州

ニーダーエスタライヒ(Niederösterreich)は、ウィーン州をぐるりと取り囲むように位置している大きな州です。

面積は19,178平方キロメートル。人口はウィーンに次いで2番目に多い州です。

ウィーンからニーダーエスタライヒは、街によっては電車に30分も乗ればついてしまうほどの近さです。

古く歴史的な石造りの建物が密集するウィーンと違い、ニーダーエスタライヒには田舎の素朴な風景が多く残っています。

ウィーナー・ノイシュタット(Wiener Neustadt)、バーデン(Baden)、クロスターノイブルク(Klosterneuburg)、メルク(Melk)など、ウィーンから日帰り小旅行をするのに最適な小さくかわいらしい街がたくさんあります。

車や電車の窓からは、季節によっては一面に広がる菜の花畑やひまわり畑など、ため息のでるような美しい自然の風景を見られることでしょう。

ニーダーエスタライヒに住んでみた感じ

ウィーンから電車で30分ほどの街に住んでいたことがあるのですが、ニーダーエスタライヒに住むということは、田舎に住む利点と欠点が入り混じる生活だったと思います。
利点は

・自然が多い
・ご近所と交流がある
・のんびりしている
・外国人は滞在許可を取るのがウィーンより楽
・幼稚園や学校に庭があるところが多い

等でした。
もちろんウィーンにも多くの自然がありますが、ニーダーエスタライヒにはそこかしこに自然が溢れています。

またウィーンのように移民で溢れかえっていないため、移民局の人に心の余裕があります。
ニーダーエスタライヒにいた時の方が、滞在許可を取るのは圧倒的に簡単でした。

逆に欠点は

・公共交通機関網が都会のように発達していない
・保育園、幼稚園で子どもを見てくれる時間&期間が少ない、補助金が少ない
・近所のお医者さんの選択肢が少ない

などという問題がありました。

日本でも、車が必須な田舎の町ってありますよね。
そういった街はニーダーエスタライヒにもあるので、免許を持っていない人は住むのが大変な場合もあります。
私もそんなこんなでオーストリアで免許を取得した一人です。
その話はまた今度。

保育園や幼稚園の制度や補助は州ごとに違っていて、補助が一番手厚いのはウィーンです。
田舎にいけばいくほど、夫婦両方が働いているのは当たり前、という感覚からは離れていくので、子どもを預ける場所がなかったり、少なかったり、あったとしても莫大な費用がかかったりします。

共働きの子育て世代は、ウィーン以外の州で住むときには少し苦労があるかもしれませんね。

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[ブルゲンラント] 世界遺産の湖がある州

ブルゲンラント(Burgenland)はハンガリーの国境に接する細長い州です。
自然に溢れる州には、かわいらしい小さな町が多く存在しています。

ウィーンから小旅行をするのならば、ハイドンが活躍したアイゼンシュタット(Eisenstadt)、時期によってはコウノトリをみることができるルスト(Rust)などがお勧め。

ブルゲンラントには、世界遺産にも指定されている中央ヨーロッパ最大の平原湖「ノイジードラーゼー(Neusiedler See)があります。
大きな湖ですので、夏にはヨットやウィンドサーフィンなどを楽しむことができます。

ブルゲンラントはワインの有名な産地でもあります。お酒が大好きな人には天国のような場所かもしれません!

ショッピングが好きな人にお勧めのブルゲンラントのスポットはDesigner Outlet Parndorf(デザイナー・アウトレット・パルンドルフ)。
きっと大好きなブランドの品物をお得な値段でゲットすることができるでしょう。

ウィーン郊外のアウトレット Parndorf(パルンドルフ)
お買い物好きのみなさん、お待たせしました。 今回はウィーン郊外のアウトレットショッピングセンター情報ですよ~!...

[シュタイアーマルク]オーストリア第2の街がある州

シュタイアーマルク(Steiermark)は、南にスロベニア国境を接している州です。
グラーツ(Graz)という、オーストリアで人口第2位を誇る街を州都としています。

シュタイアーマルクを観光で訪れるならば、やはりこのグラーツという街でしょう。
街の歴史地区はユネスコの世界遺産にも登録されているほど美しく、小さいながらも見所に溢れています。

また、ウィーンの画家フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーがデザインした「ログナー・バート・ブルマウ」という、ちょっと、いや、大分変った温泉施設も一度は訪れてみる価値ありの場所です。

冬は予約が取りにくいので、早めに予約した方が安心です。ログナー・バート・ブルマウでは温泉とアートを同時に楽しめるという、とても貴重な体験ができるでしょう。

[オーバーエスタライヒ]サウンド・オブ・ミュージックの舞台

オーバーエスタライヒ州(Oberösterreich)は、その北をドイツとチェコの国境に接する州です。

州都は、ウィーンの人口第3位の都市リンツ(Linz)
ドナウ川沿いの美しい街リンツは、ウィーンからのアクセスも良いので、日帰り旅行にお勧めです。

その他の観光の見所は、州の西南部に位置するザルツカンマーグート(Salzkammergut)と呼ばれる地域。

多くの山や湖に恵まれたこの地域には、都会の生活に疲れたウィーンの人たちも休暇でよく出かけたりします。夏には湖で泳いだり、ハイキングをしたり、自然の中で様々なレジャーを楽しむことができます。

日本人にとても人気のある「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台になったのもこの地域。

映画のファンの人は、是非とも訪ねてみてください。

[ザルツブルク] モーツァルトのふるさと

ザルツブルク州の州都は、同名のSalzburg(ザルツブルク)。

これはクラシック音楽好きの人なら、必ず聞いたことがある街の名前のはず。
そう、あのモーツァルトの生まれた街なんです。

クラシック音楽に特に興味が無い人でも、ザルツブルクは街歩きが楽しい場所です。
市街の歴史地区は、ユネスコの世界遺産に登録されているほど美しいもの。

石畳の入り組んだ道を進んで、遥か山の上にそびえ立つお城を見上げれば、おとぎ話のなかに迷い込んでしまったような感覚に陥ってしまうかも。

ウィーンからのアクセスもとても簡単なので、小旅行にお勧めの街です。日帰りも可能ですが、せっかくだったら1泊したほうが満喫できると思います。

[チロル]冬季オリンピックも開催された場所

チロル州(Tirol)は、オーストリアの西部に位置する州で、北チロルと東チロルに分かれています。州都は北チロルにあるインスブルック(Innsbruck)です。

この地域は山好きの人に有名な地域だと思います。

チロルの観光拠点になるのはやはりインスブルックの街でしょう。
中世の街並み、その後ろにそびえ立つ山々。こんな景観が望める場所って、世界にそうそうないと思います。

ウィーンから電車で訪れると4時間15分ほどかかるので、決して気軽に行ける場所とは言えません。でも乗り換えなしの直通で行くことはできるので、トレッキングやハイキングが好きな方は、チロル地方を是非訪れてみてほしいと思います。

また、女子ならぜったい大好きなスワロフスキーの本拠地も、このチロル地方にあります。
インスブルックから15キロほど離れた、ヴァッテンス(Wattens)という街にある「スワロフスキー・クリスタルワールド」(Swarowski Kristalworld)はスワロフスキーファンの女子必見のキラキラ観光スポットです。

[ケルンテン]ブラームスやマーラーが愛した湖畔の街

ケルンテン州(Kärnten)はオーストリアの南に位置する州で、イタリアとスロベニアに国境を接しています。州都はクラーゲンフルト・アム・ヴェルターゼー(Klagenfurt am Wörthersee)

自然豊かなケルンテン州にはいくつもの湖が点在しています。その中でも最も有名なのが、州都の名前にもあるヴェルター湖

この湖を愛した著名人も数多くいます。有名なクラシック音楽作曲家のブラームスとマーラーもこの湖のほとりの街で好んで時を過ごしました

ブラームスはヴェルター湖畔の街ペルチャッハで交響曲の2番を、マーラーはマイアーニックという街で交響曲の5番から8番までなどを作曲しています。

今でもヴェルター湖湖畔は、人気の保養地。夏に行ってもいいけれど、時季外れに静かな湖畔を散歩するのもお勧めです。

州都のクラーゲンフルト・アム・ヴェルターゼーの街並みも、とても美しいので観光に訪れる価値は大いにあり。

ただし、ウィーンから電車で訪れると4時間程度かかるので(直通電車あり)日帰りは少し難しいでしょう。

[フォアアールベルク]ボーデン湖に面した街

フォアアールベルク(Vorarlberg)州は、オーストリアの最も西に位置する州です。ウィーンに次いで2番目に小さな州で、州都はブレゲンツ(Bregenz)です。

ウィーンからブレゲンツまでは電車で8時間以上!かかる遠さ。
アクセスするなら、むしろドイツやスイスからの方がずっと便利です。

ブレゲンツは夏季に行われる、湖上オペラで有名な街。
オペラファンは上演時期に合わせて訪れてみると良いでしょう。

ブレゲンツ郊外にはプフェンダー(Pfänder)という山があり、ロープウェイでも登ることができます。山頂は最高の絶景ポイント。360度のパノラマでボーデン湖全景を眺めることができます。47

まとめ

オーストリアの行ってみたい州、住んでみたい州は見つかったでしょうか?
ウィーン以外にも魅力たっぷりの州を持つオーストリア。
時間が許せばすべての州を訪れて、その多様な魅力に触れてみたいですね。

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